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ベトナム刺繍、風土と歴史が育んだ色糸づかい    
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Sep 13 2013

ベトナム雑貨ブームの火付け役となったのが、ナプキンやクッションなどに施された刺繍。 自然をモチーフにしたデザインと鮮やかな色が人気の理由です。

ベトナム雑貨ブームの火付け役となったのが、ナプキンやクッションなどに施された刺繍。 自然をモチーフにしたデザインと鮮やかな色が人気の理由です。

多彩な色の糸を使うのが特色のベトナム刺繍。ここにはベトナムの風土と歴史が凝縮されているのです。

ベトナム刺繍鑑賞のツボは、
「風土と歴史が育んだ色糸づかい」

ベトナム刺繍は、王宮で育まれました。 王宮で王族たちの衣装を飾る刺繍専門の職人が育成され、職人たちは、熱帯地方の、鮮烈な色彩を表現した、刺繍の美を開花させました。 王宮を飾るために誕生し、今に受け継がれた、『刺繍絵』です。
さて、左の写真、どこに刺繍が使われているか分かりますか? 実はすべて刺繍。一枚のキレの上に、時に千色近い色糸を使い、絵画のような刺繍を縫いあげる芸術です。

刺繍絵に詳しいグエン・ティ・ホア・ニュンさんは言います。

「王朝時代、ベトナムの豊かな自然や南国ならではの鮮やかな色彩を再現するため、たくさんの色糸を使いこなす技術が考え出されました。微妙に色の違う糸を縫い混ぜて自然の複雑さを忠実に写し取る技法です。」

花びらをよくご覧ください。一枚の花弁の中にある色の濃淡が、赤から黄色までさまざまな色糸で表現されています。

さらに色糸を使いこなして、巧みな陰影の表現を生みだしました。2種類の色糸を一つの針に通します。色糸を重ねることで新しい色を作ります。画家が絵具を混ぜるようにして微妙な色を作り出し陰影を表現するのです。

南国の強烈な日差しをうけたバラ園の情景。黒々とした影が、ふんだんな色遣いによって見事に表現されています。


刺繍絵の自由自在な色づかいは、宮廷の職人たちによってふるさとの村々に伝えられます。家族の衣服を飾り、暮らしを彩る技術として、母から子へと受け継がれてきました。

戦乱の中でも失われることなく、王宮で生まれた繊細な色糸使いが各地で伝えられてきたのです。 この伝統が今、雑貨として大きく花開いています。


1990年代、刺繍をほどこしたテーブルクロスやクッションなどの雑貨を発表し、一躍注目を集めた作家・ズイ・ミイ・チャンさん。

その魅力は洗練されたデザインにあります。色糸を巧みに使ったしゃれた作風で、西洋や日本の女性たちから圧倒的な支持を集めました。


チャンさんが育ったのは、フランス文化の影響が強く残っていた時代。そこで身につけたヨーロッパの美意識を伝統的な刺繍で表現しているのです。

「伝統的な技術は、伝統のままにしておくのではなく、時代に合わせた創造力によって初めて生き生きとしたものになります。」


ベトナム刺繍の洗練された色と形。 ここには大国にほんろうされながら、その影響を常に新しい美に昇華させてきたベトナムの人々のしなやかな感性が秘められているのです。

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